健生病院・健生クリニック

作品情報

病院
青森県弘前市
鉄骨造
地上5階
19,243.92㎡
2017年7月

作品情報

病院
青森県弘前市
鉄骨造
地上5階
19,243.92㎡
2017年7月

敷地は、青森県西部の弘前市の中心部からほど近く、国道7号線に隣接した交通の便の良い場所にある。敷地からは、津軽富士とも呼ばれる岩木山をはじめ、奥羽山脈を望むことができる。新病院は、救急医療、リハビリ機能、在宅復帰の支援機能(地域包括ケア病棟)、がん医療(緩和ケア病棟の新設)、在宅医療などの医療機能の充実を図った。合わせて、建物の耐震性能向上、BCP対策を行った。病院1階に、外来、生理検査、放射線機能をまとめ、患者の利便性に配慮した。救急部門は、放射線科(CT、MRI、アンギオ等)に隣接して配置している。また、救急専用エレベーターで手術室や救急病棟、HCU病棟とも連結している。2階には、手術室、リハビリガーデンを併設したリハビリ室を設置するとともに、中材、厨房、SPD等供給部門を集約した。3~5階に8つの病棟を配置している。各病棟は、将来的な病棟再編に対応するため、できるだけ同じ構成としている。各病棟は、スタッフステーションを中心に病室が周りを取り囲む構成として、看護動線を最小化している。また、病室は、岩木山をはじめとした周辺の山々を眺めながら療養していただける環境を有している。敷地内には、病院と隣り合う形でクリニックがある。また薬局(当社の設計)も隣接しており、その3つの施設を繋ぐ形で、「こみせモール」を設置し、冬季の積雪や風雨の際にも雪や雨に濡れずに施設間を行き来できるようにしている。さらに敷地内の病院の北側には、職員のスペースが入る付属棟、西側に医局棟を病院とは別棟で建設することで、コストの合理化を図っている。インテリア、サインデザインには、津軽の伝統工芸である「こぎん」を用い、地域の風土を建物に織り込み、組合員さんが親しみやすく明るくあたたかみのあるデザインとなるように配慮している。設計段階では、東北地方ということで震災の影響を大きく受け、資材の高騰や人手不足等の中、当初予算よりも工事費が大幅に増えていた。病院の要望を受けて基本設計をまとめた後、再検討し、床利用の効率化・建物形状の見直しを行い、コストダウンを図るとともに、階構成の最適化などにより将来の病棟編成の再編にも対応したプランの提案を行った。また職員の部屋で可能な部分を、本体と切り離し軽量鉄骨造の別棟とすることで、さらなるコスト削減を図った。また施工業者の選定に際しては、ECI方式により施工者を実施設計前に選定し、施工業者と協同してコスト削減や工期短縮に取り組み、施主に希望するコストで実現できた。